| 若きウタリに |
 | 著者名:バチェラー八重子(著) 出版社:岩波書店 出版年:2003.12 ISBN :9784006020781 |
アイヌ民族出身のキリスト教伝道者であるバチェラー八重子の歌集。
初版は、金田一京助の尽力により1931年に出版されている。
その際は、写真家掛川源一郎の写真も併載されていたという。
キリスト教は、近代においてアイヌ民族のなかで微妙な影響力をもっていた。
おそらくそれは、「平等」という概念ではないかと思われる。
「旧土人」として差別されつづけたアイヌ民族。
それに最初に異を唱えたのがバチェラー八重子だった。
キリスト教伝道者として、と同時にアイヌ民族解放者としても、立派な功績を残した。
もちろん、アニミズムのアイヌ民族の宗教と、キリスト教の相容れない部分もある。
熊送りの儀式イヨマンテを八重子は野蛮なものとして批判しつづけた。
とはいえ、彼女の実績はまだまだ語り足りないように思われる。
だが、歌人としてはどうか?
個人的には、まったくいただけない。
アイヌに限らず、解放運動などの初期には、あまりに直截な表現がとられることが多い。
そのなかに、どれだけ普遍性があるかが問われるわけだが、八重子の歌にはあまりそれを感じられない。
彼女の伝道者としての活動に較べると、歌はあまりに稚拙である。
日記のような印象。
それゆえに資料的な価値はあるかもしれない。
ただ八重子の生きた時代、その時代のアイヌ民族の生活、そして何より八重子自身の生涯、これには興味をもたざるを得ない。
幼少期にキリスト教伝道師バチェラーの養女となる八重子。この行為自体、違和感を覚えるほど、謎に満ちているように思われる。
そして、八重子をとりまく人物たちの相関図もまた、その時代とアイヌ民族の縮図のように感じられ、興味は尽きない。
まだまだ調べなければならない。
posted by NIHEI at 19:56|
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