2008年04月21日

『母と子でみる 南京からの手紙 日本は中国でなにをしたかT』早乙女勝元編(草の根出版会)/1990年2刷


母と子でみる南京からの手紙
201.jpg著者名:早乙女勝元(編集)
出版社:草の根出版会
出版年:1989.10
ISBN :9784876480708


南京への旅を、手紙形式の文章と写真で構成したもの。
以前、戦後生まれの僕と同世代の中国のドキュメンタリー映画監督班忠義さんと話したとき、少年時代の生活環境の違いに唖然とした。生活環境のなかに戦争の傷跡が生々しく残る班さんと、高度成長のなか戦争の傷跡を、その責任とともに封印してしまった日本で育った僕の生活環境は、まさに対極であった。
本書は、そういったことを、告発や糾弾という激しい形ではなく、忘れないことを祈るように優しく伝えてくれる。
そのために、手紙形式が選ばれてもいるのだろう。
この「草の根出版会」は、その名の通り、地道に息の長い仕事をしている。

日本における戦争の痕跡を追っている人に、フリーカメラマンの安島太佳由さんがいる。
彼もまた僕と同世代の戦後生まれであるが、貴重な仕事をしている。
彼はいま、日本からアジアへとそのフィールドワークを広げている。
posted by NIHEI at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 南京

2008年04月20日

『写真集 南京大虐殺』「写真集・南京大虐殺」を刊行するキリスト者の会(エルビス)/1995年


写真集南京大虐殺
200.jpg著者名:写真集南京大虐殺を刊行するキリスト者の会(編集)
出版社:エルピス
出版年:1995.04
ISBN :9784900394131


2007年夏、どこの書店も、中国や朝鮮をはじめとする、アジア諸国に対する前大戦における日本軍の虐殺などの侵略があたかもなかったかのような書籍が大量に並べられていた。特に、「南京大虐殺」「従軍慰安婦」については、すべて捏造であるということで結論済みという論調がほとんどだ。
この国では、こういうことは定期的に起こってきた。
論旨は、昔から変わっていない。数の問題やら、場所の問題、等々から、これらのことはなかったと。
数の問題など、国際法上の『大虐殺』に当たらないようにするための方便にしかすぎず、たとえ中国側の発表より実際は少なかったとしても、それで事実がなくなることはないし、そう主張することで明るい未来があるとも思えない。
この国ではいまだ戦争の亡霊たちが暗躍しつづけている。いつでもその犠牲者は、弱者からはじまる。強者の側にいようと弱者を排斥した多くの善良な市民が、いったいどんな運命をたどったか。
現在、戦争の亡霊たちが、露骨にまた繰り返そうと暗躍している。そして、また善良な市民(弱者)が踊らされ、殺されてゆく。ごく一部の権力を握った者たちの儲け話の犠牲者として。
「日本人が中国で何をしたか」でなくていい。「戦争で人間は何をするのか」を考えるきっかけとして、本書のようなものを消し去ってはならない。
その想像力が、現在のイラクや、アフリカで何が起こっているかにつながることを願ってやまない。
死者ひとりひとりへの想像力をもってほしい。
特に若い人は、この民主主義後進国のこの国にあって、その想像力を身につけてほしいと思う。
権力は、想像力を嫌う。
権力は、バカを好む。
権力に気に入られたと思ったら、あるいは自分が何らかの権力をもち、それを維持したいと感じたら、それは自分がバカだからと思ったほうがいいだろう。
少し乱暴になったが、その想像力、それは対話への想像力を必ず開く。
いま、この国は、内に対しても、外に対しても、対話の想像力を全く欠いてしまっている。そのための、殺伐とした事件で溢れかえっている。
この国は、想像力を失っている。
想像力のない国が、他国から尊敬されることはない。
posted by NIHEI at 23:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 南京
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