『眠る男 大いなる記憶』
出版社:上毛新聞社
出版年:1995
1996年だったろうか、僕は自分の住む群馬の田舎町を自転車で走っていた。そのとき、この田舎町には不似合いなポスターが目に飛びこんできた。それが小栗康平監督作品『眠る男』のポスターだった。
この映画は、群馬県が自治体として日本ではじめて映画製作をしたものだった。人口200万人突破記念事業として、当時の知事が箱物の建設ではなく、別のものをということで、実現した。
群馬県内で、まず公開され、入場料は500円だったと思う。僕もさっそく何十年か振りに地元の映画館に行った。会場には、たくさんのボランティアの人たちが働いていた。
素晴らしい映画だった。
時間をかけて、大切につくられていた。もちろん、群馬県の宣伝映画ではない。小栗康平監督は、知事たちに「映画」について根気よく話したという。その間、4年。
この本は、その映画制作のドキュメンタリー。
その後、こういった映画づくりの試みはされていない。
どうしてなのか。
どうして、一度きりで継続されないのか。
今では、何十年かぶりに訪れた地元の映画館も、駐車場と化している。
なんともさびしい話だ。
手元にある小栗康平監督の著作は下記の通り。
*『映画を見る眼』(NHK出版)2005年

