2006年11月12日

『ロボット(R.U.R)』カレル・チャペック(岩波文庫)/1989年


ロボット


著者名:チャペック(著)
     千野栄一(訳)
出版社:岩波書店
出版年:1989.04
ISBN :4003277422


チェコを代表する作家カレル・チャペック。
カフカはドイツ語で執筆したため、チェコの人たちにとっての真の国民的作家はこのチャペックの方だという。
最も好きな作家のひとりだ。
「ロボット」という言葉は、この作品で初めて生まれ、世界中に広がっていった。
この言葉を発明したのは、カレルの美術家の兄ヨゼフである。
構成は、労働力として生み出された人造人間が、やがて人間の抹殺を開始するというもの。これは、長編小説『山椒魚戦争』と同様、強烈な文明批判、奢った人類への警鐘である。
この本の日本での紹介は意外と早い。戦前に何度も訳され、築地小劇場でも上演されている。
世界が暗い時代に入る前の、世界が最も幸福だった時代といわれる1920年代。様々な国で新しい芸術運動が起こる。この日本もその流れのなかにあったと思うと、少しうれしくなる。
舞台も、この『ロボット』ばかりではなく、ロシア・アヴァンギャルドのものなどが上演されていた。
余談だが、僕はロシア・アヴァンギャルドのものが一番好きだ。当時の舞台は、詩人、演出家、建築家、美術家など、様々な分野の者たちが集結し舞台をつくった、まさに総合芸術だった。そのなかでも演出家メイエルホリトの舞台は、(テクストや写真でしかふれることができないが)いまでも刺激的だ。
近年、やっとヨゼフ、カレルのチャペック兄弟、あるいはチェコ・アヴァンギャルドが、書籍や展覧会という形でまとまって紹介されるようになり、当時の貴重な資料も見れるようになった。なんともうれしいことだ。
僕はなぜか東欧の芸術に魅かれる。戦前の日本のアーティストたちも大いに魅了されたように。実は、東欧の芸術はどこか日本人になじみやすいのではないか。思えば、作家安部公房を最初に紹介したのも東欧の国だった。
以前、アルメニアの役者たちと飲んだとき、彼らの口からまず出た日本の作家の名前は、「アベ・コーボー」だった。どこの国にいっても、安部公房は「コーボー・アベ」とはいわれない。必ず「アベ・コーボー」だ。
現在のアメリカグローバリズムという想像力が一方的な単純なものではない、チャペックのような作品をいま読むということは、世界をもう一度豊かに見直すことになるだろう。

手元にあるカレル・チャペックの著作は下記の通り。
* 『山椒魚戦争』(小学館 地球人ライブラリー)1994年
* 『ダーシェンカ』(新潮文庫)1998年
* 『チャペックの犬と猫のお話』(河出文庫)1998年
* 『チャペック小説選集@』(成文社)1995年
posted by NIHEI at 13:23| Comment(0) | TrackBack(1) | 文学/西洋

2006年11月10日

『木を植えた人』ジャン・ジオノ(こぐま社)/1989年


木を植えた人



著者名:ジャン・ジオノ(著)
     原みち子(訳)
出版社:こぐま社
出版年:1989.10
ISBN :4772190066


日本でも大ヒットした作品。アニメーションにもなった。
荒地に木の実を植えつづける男の話。
ジャン・ジオノは、1895年フランス生まれ、
その筆致は、まるで紀行文のように淡々としている。
余計なことは書かず、教訓めいたことも書かないのが、いっそう想像力を刺激する。

手元にあるジャン・ジオノに関するものは下記の通り。
*ビデオ『木を植えた男』監督・脚色・原画/フレデリック・バック 制作/カナダ国営放送 1987年
posted by NIHEI at 20:22| Comment(0) | TrackBack(0) | 文学/西洋
ブログ検索