2008年04月26日

『ねずみのアナトール』タイタス たがやたえこ やく はまだみちこえ(文研出版)/1997年17刷


ねずみのアナトール
203.jpg著者名:タイタス(著)
     たがやたえこ(訳)
     はまだみちこ(画)
出版社:文研出版
出版年:1972.07
ISBN :9784580814127


面白い。
ネズミのアナトールが、人間から迷惑がられているのを知って、名誉挽回にチーズ工場で人知れず働きはじめる。
2部構成になっているのもいい。
はまだみちこさんの絵も、日本的でなく、モダンで、まるで東欧の作家のようでいい。
それにしても、童話作家や絵本作家は、ほんとうにネズミが好きだなあ。

作者のプロフィールが載っていないのが、違和感を覚える。わずかに訳者のあとがきにアメリカ人で、一児の母親、そしてピアニストということだけが書いてある。
訳者と画家のプロフィールは、あるスペースをとって書いてあるのに、肝心の作者のプロフィールがないというのは、やはり不自然だ。

2008年04月10日

『星の王子さま』オリジナル版 サン=テグジュペリ 内藤濯訳(岩波書店)/2002年15刷


星の王子さま オリジナル版
著者名:サン・テグジュペリ(著)
     内藤濯(訳)
出版社:岩波書店
出版年:2000.03
ISBN :9784001156768


『星の王子さま』を読んだのは、いつの頃だったろうか。
他の多くの人とは違って、大人になってからだったと思う。
今回、あらためて読んでみて、驚いてしまった。こんなにも印象が違うとは。
そもそも、この本を再読しようと思ったのは、『ぼくは12歳』の岡真史を調べていたことによる。
『星の王子さま』の本を抱えた、小学4年生の岡真史の写真が残っている。
そんなこともあって、岡真史の両親にもお会いした。
父親の作家である高史明さんは、さかんにサン=テグジュペリについて話してくださった。
その影響だろうか、読み直した『星の王子さま』は、まったく違った様相を呈していた。
乱暴に言えば、「孤独、悲しみ、自殺」の話に思えた。岡真史のことと重なり、衝撃的だった。
最初に読んだときは、これもひねくれた読み方だが、預言者、あるいは救世主が再び訪れることを約束したにもかかわらず、訪れたときはすでに人間は滅びていたというアイロニカルなものに思えた。
すぐれた普遍的作品は、読み手の年齢、その時代、その状況で、さまざまな読み方を許容する。
子どもに読ませることをためらうほどショッキングであったが、それでも子どもたちは子どもたちなりの読み方をする。
それにしても、サン=テグジュペリの絵はいい。
世界的に読まれつづけている大きな要因だろう。
そのために、この作品はいっそうさまざまな読み方を優しく許している。

手元にある『星の王子さま』に関する本は以下の通り。
*『星の王子さまの本』星の王子さまクラブ編(宝島社)2005年

2008年04月08日

『幸福の王子』オスカー・ワイルド 曽野綾子訳 建石修志画(バジリコ)/2007年2刷


幸福の王子
著者名:オスカー・ワイルド(原著)
     曾野綾子(訳)
     建石修志(画)
出版社:バジリコ
出版年:2006.12
ISBN :9784862380364


古書店で、ふとこの本が目に入った。
それは、装丁のためだ。画を建石修志さんが担当している。
建石修志さんの幻想的な画は、よく知っている。以前、舞台のチラシを頼んだこともある。
児童書のところに建石さんの画があると、やはり目立つ。
オスカー・ワイルドの『幸福の王子』は、昔、新潮文庫で読んだのではなかったかと記憶する。
それを今、曽野綾子の新訳もさることながら、建石さんの画であらためて読むことは、何とも新鮮だった。

2008年04月07日

『おじいちゃんの口笛』ウルフ・スタルク アンナ・ヘグルンド絵 菱木晃子訳(ほるぷ出版)/2003年17刷


おじいちゃんの口笛
著者名:ウルフ・スタルク(著)
     アンナ・ヘグルンド(画)
     菱木晃子(訳)
出版社:ほるぷ出版
出版年:1995.02
ISBN :9784593503247


ウルフ・スタルクは、スウェーデンの人気作家。
なんともいい話だ。
「僕」のおじいちゃんの話を聞いて、自分もおじいちゃんがほしくなる友達のベッラ。そんなヘンなところから話がはじまる。
話の展開は小気味よく、ユーモアたっぷりで、しかも「死」の問題までふくんでいる。
スタルク自身の少年時代が下敷きになっているという。
もっとスタルクのものを読みたくなる。
めずらしい短編の名手だと思った。
アンナ・ヘグルンドのとぼけた絵もいい。

2008年02月08日

『船長おじいさんこんにちは』M・ゼール 稲野強 訳(小学館)/1979年


船長おじいさんこんにちは
181.jpg著者名:マンフレッド・ゼール(著)
     稲野強(訳)
出版社:小学館
出版年:1979.01
ISBN :9784092870017


なんとも不思議な絵である。
話はたわいないものではあるが、その絵は不思議な魅力をたたえている。
イギリスのアーティストに、元船乗りのアルフレッド・ヴォリスという人がいる。
この人は、船乗りをやめて、70歳をすぎてから画を描きはじめた。
しかも、描く画はすべて船だけ。
どこかアウトサイダーとよばれる人たちの画に似て、素朴だ。
M・ゼールの絵も、どこか彼らに通じているように感じた。

2008年02月02日

『ピーターラビットの絵本 1』ビアトリクス・ポター いしいももこ やく(福音館書店)/1990年第6刷


ピーターラビットのおはなし
著者名:ビアトリクス・ポター(著)
     石井桃子(訳)
出版社:福音館書店
出版年:1971.11
ISBN :9784834003017


この本もまた有名にもかかわらず、そしてビアトリクス・ポターのこと、あるいはピーラビットが生まれた秘話などは知っていても、ちゃんと読んだことはなかった。
そもそもピ―ターラビットは絵本にするために描かれたものではない。
ポターの友人の子どもへの絵手紙としてはじまった。
だからこそ、世界中の子どもたちに読まれつづけている。
ひとりの子どもに向けられて描かれたからこそ、多くの子どもたちに読まれる。
絵本は、いつの時代もそのように生まれてほしいと、そう思う。

手元にある『ピターラビット』に関する本は、下記の通り。
*『ピーターラビットの絵本4』(福音館書店)1989年4刷

2008年01月23日

『小さな島の大男』ヴァルター・クライエぶん トメク・ボガッキーえ斉藤洋 訳(ほるぷ出版)/1992年


小さな島の大男
177.jpg著者名:ヴァルター・クライエ(著)
     トメク・ボガッキー(画)
     斉藤洋(訳)
出版社:ほるぷ出版
出版年:1992.05
ISBN :9784593502875


文章のヴァルター・クライエは、ドイツ出身。
絵のトメク・ボガッキーは、ポーランド出身。
大男が、ひとりぽっちで小さな島に住んでいる。
大好きな小さな島に。
孤独ではなく、充足している。
だが、嵐によって大男は島を出なければならなくなる。
これまた小さな船に乗って海に出る。
こういった設定に、僕などはすぐにやられてしまう。
絵も、淡いが大胆でいい。

2008年01月21日

『夢を追いかけろ クリストファー・コロンブスの物語』ピーター・シス 吉田悟郎 訳(ほるぷ出版)/1994年4刷


夢を追いかけろ
176.jpg著者名:ピーター・シス(著)
     吉田悟郎(訳)
出版社:ほるぷ出版
出版年:1992.04
ISBN :9784593502868


ピーター・シスは、チェコスロヴァキア出身。
ピーター・シスをはじめて知ったのは、2006年に目黒区立美術館で開催された「チェコと絵本とアニメーションの世界」であった。
目当ては、もちろんヨゼフ・チャペックであったが、他にもたくさん興味深い作家の作品が並んでいた。
そのなかでも、ピーター・シスの作品はひときわ異彩を放っていた。
パラノイア的、あるいは空白恐怖症のように隅々まで細かく描きこまれたその絵をみていると、どれほどの時間をかけて描いているのか、めまいさえ覚える思いだった。
当然、アートとしてのクオリティも高い。
このコロンブスを描いた『夢を追いかけろ』も、まず石膏で何度も塗り重ねた上に、油彩などで描いている。
まるで小宇宙をつくっているようだ。

[追記]2008年5月30日(金)
* 『マドレンカ』松田素子訳(BL出版)2001年
ピーター・シスの世界観、宇宙観は、どこからきているのだろうか。まるでルネッサンス期の人のようだ。世界は狭くなったといわれて久しいが、果たしてそうだろうか。私たちの想像力が貧困になっただけではないのか。そんなことをピーター・シスの絵本は思わせてくれる。

2008年01月19日

『BORKA ボルカ』ジョン・バーニンガム さく きじまはじめ やく(ほるぷ出版)/2005年12刷


ボルカ
175.jpg著者名:ジョン・バーニンガム(著)
     木島始(訳)
出版社:ほるぷ出版
出版年:1993.11
ISBN :9784593503070


ジョン・バーニンガムも、イギリスの人気絵本作家。
この『ボルカ』は、バーニンガムのデビュー作。
このデビュー作で、いきなりケイト・グリーナウェイ賞を受賞している。
ハーニンガムの筆致は、大胆だ。
その大胆な筆致が、動物や人間の本質を如実にあらわしている。

ジョン・バーニンガムの手元にある作品は、下記の通り。
*『ハーキン 谷へおりた きつね』やく あきのしょういちろう(童話館出版)2006年第4刷

ハーキン
著者名:ジョン・バーニンガム(著)
     秋野翔一郎(訳)
出版社:童話館出版
出版年:2003.05
ISBN :9784887500464

[追記]2008年5月30日(金)
* 『はたらくうまのハンバートとロンドン市長さんのはなし』じんぐうてるお訳(童話館出版)2004年6刷
やはり、ジョン・バーニンガムは、画と構成がすばらしい。

[追記]2008年6月10日(火)
* 『おじいちゃん』たにかわしゅんたろう やく(ほるぷ出版)2004年第32刷
他の作品と違ってソフトなタッチで描かれている。作品が進むたびに、思わずため息が出てしまう。すばらしい。
* 『いつもちこくのおとこのこージョン・パトリック・ノーマン・マクヘネシー』たにかわしゅんたろう やく(あかね書房)1999年第22刷
奇想天外な発想のもと、ユーモアたっぷりの痛快物語。だれでもこんなことは一度は想像したのではないだろうか。バーニンガムは、やはり絵がいい。

2008年01月17日

『きれいな絵なんかなかった』アニタ・ローベル 小島希里 訳(ポプラ社)/2006年第4刷


きれいな絵なんかなかった
174.jpg著者名:アニタ・ローベル(著)
     小島希里(訳)
出版社:ポプラ社
出版年:2002.11
ISBN :9784591074237


人気絵本作家アニタ・ローベルの少女時代の回想録。
ポーランドのユダヤ人であったアニタは、強制収容所に送られる。
誰しもが知っているナチスの強制収容所の過酷さ。
だが、アニタはそれらの体験を、悲惨さを強調するのではなく、明るく強く生きた少女として描く。
むしろ、解放されてからの心に残った傷の方が、胸をしめつけられる。
ところどころ謎な部分が残るのだが、それは最終章で感動的に明かされる。
アニタは、ここでもとりあげたアメリカの人気絵本作家アーノルド・ローベルの妻でもある。

この本は、翻訳者の小島希里さんから直接いただいた。
希里さんは、翻訳業とは別に、障害者と健常者(何ともイヤな言葉と区分けだが)が交流する場「がやがや」をつくっている。
そこでは、歌やダンスなど、様々な創造的な遊びが繰り広げられる。
時に、コンサートを開いたりする。
希里さんは、生きていること、人と交流することに謙虚にならざるを得ない仕事をなさっている。
僕もときどき風間さんや小林君に会いたくなると「がやがや」に参加している。

アニタ・ローベルの手元にある作品は、下記の通り。
*『ちいさな 木ぼりのおひゃくしょうさん』えアニタ・ローベル ぶんアリス・ダルグリーシュ やく星川菜津代(童話館出版)1994年

ちいさな木ぼりのおひゃくしょうさん
著者名:アリス・ダルグリーシュ(著)
     アニタ・ローベル(画)
     星川菜津代(訳)
出版社:童話館出版
出版年:1995.01
ISBN :9784924938243

2008年01月16日

『かいじゅうたちのいるところ』モーリス・センダックさく じんぐうてるおやく(冨山房)/2003年87刷


かいじゅうたちのいるところ
著者名:モーリス・センダック(著)
     じんぐうてるお(訳)
出版社:冨山房
出版年:1975.01
ISBN :9784572002150


モーリス・センダックも、アメリカの人気絵本作家。
子どもの想像力を、強くまっすぐ刺激する。
それでも、ただ大人の思う子どものイメージを押しつけるわけではない。
『ロージーちゃんのひみつ』でもみられるように、その想像力は多面的で、まるでひだのように見え隠れする。
それは、ときに死の影をももった傷であったりする。
それをセンダックは、強くまっすぐな想像力のなかで明るく描いている。

モーリス・センダックの手元にある作品は、下記の通り。
*『ロージーちゃんのひみつ』なかむらたえこやく(偕成社)2001年9刷

ロージーちゃんのひみつ 改訂版
著者名:モーリス・センダック(著)
     中村妙子(訳)
出版社:偕成社
出版年:1983.01
ISBN :9784034310809

2007年02月06日

『ペンギンのペンギン』デニス・トラウト作 トム・カレンバーグ絵 谷川俊太郎訳(リブロポート)/1991年


ペンギンのペンギン
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著者名:デニス・トラウト(著)
     トム・カレンバーグ(画)
     谷川俊太郎(訳)
出版社:リブロポート
出版年:1983.02
ISBN :9784845700813


何とも不思議な本だ。
ペンギンの図鑑、ペンギンの歴史書、ペンギンの哲学書、なんとよべばいいのか。
作者のデニス・トラウト氏の職を転々とするその履歴を読んでも、なぜこの本を書こうとしたのかよくわからない。しかも、現在はコンピューターのプログラマーをしているらしい。
やはり、何とも不思議な本だ。

2007年02月04日

『ねずみとくじら』ウィリアム・スタイグ せたていじ やく(評論社)/1995年


ねずみとくじら
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著者名:ウィリアム・スタイグ(著)
     せたていじ(訳)
出版社:評論社
出版年:2007.02
ISBN :9784566001039


ウィリアム・スタイグも人気絵本作家だが、読んだことがなかった。
読んでみて驚いた。ねずみのエーモスとくじらのボーリスの哺乳類同士の友情物語なのだが、なんともいい話だ。
すべてがシンプルなのだが、何とも精細で、優しく響いてくる。
他の作品も読みたいと強く思う。

[追記]2008年1月14日(月)
* 『歯いしゃのチュー先生』うつみまお やく(評論社)2005年14刷
何ともいえない味わいがある。話にも絵にも、その味わいは静かに染みとおっている。読む者の心にも、それは静かに微笑みとともにしみこんでくる。

[追記]2008年4月2日
* 『ぬすまれた宝物』金子メロン訳(評論社)2003年8刷
やはり、スタイグは面白い。
それぞれ違った者同士(作品の中では別の動物として描かれている)が、どのような信頼をもてば仲良く共存してゆけるかが、スタイグの根本的なテーマであると感じられる。
子どもも大人も、読むべきだろう。

[追記]1008年4月7日
*『ロバのシルベスターとまほうのこいし』せたていじ やく訳(評論社)1997年9刷

2006年09月15日

『青い鳥』モーリス・メーテルリンク(岩波少年文庫)/1990年


青い鳥


著者名:メーテルリンク(著)
     末松氷海子(訳)
出版社:岩波書店
出版年:2004.12
ISBN :4001141205


驚愕の一書。
あまりにも有名で、内容も何となく知ってしまっていると、読む機会を逸してしまうことがしばしばある。
この世界的に有名な『青い鳥』もそんな一冊。
読んでみて驚いた。
モーリス・メーテルリンクは、ベルギーで生まれている。
そして、19世紀末から20世紀を生きた。
この時代は、近代へと移りゆく、まさに神秘主義と科学が混在するような時代。
そこからは、何とも不可思議であり、かつ重要な作品が生まれている。
すぐに思い浮かぶのが、スウェーデンのストリンドベリー。
メーテルリンクは、ストリンドベリーを否定的に見ていたらしいが、同時代性を強く感じる。
この『青い鳥』で最も驚くのは、生命観も含めたその世界認識だ。
それは、現在でも示唆に富んでいる。
そして、そんな恐るべき本を、世界中の子どもたちが読んでいるということにもまた驚かされる。
にもかかわらず、どうして世界はいまだこんなに不幸なのか。
それもまた、不可思議なことだ。
メーテルリンクは、昆虫や植物の博物学的な本も多数出している。
これもまた、時代を感じさせられる。

2006年08月27日

『レクトロ物語』ライナー・チムニク(福音館文庫)/2006年


レクトロ物語


著者名:ライナー・チムニク(著)
     上田真而子(訳)
出版社:福音館書店
出版年:2006.06
ISBN :4834021734


面白い! 抜群に面白い! メチャクチャ面白い!
久しぶりに読み終えるのがもったいないと感じた作品。
そして、何という幕切れ。
「レクトロさ〜ん!」と思わず呼びかけてしまう。
ライナー・チムニクは、ドイツの作家。
文章と挿絵を同時にリンクさせた独特の作品を構築している。
寓話性に富んだその作品は、ときに笑わされ、ときに背筋をゾッとさせられる。
何よりその視線が、徹底して市民の視線であるということが素晴らしい。
こんなに夢中にさせられたのは、シルヴァスタイン以来かもしれない。僕は、『歩道の終わるところ』が大好きだ。

手元にあるチムニクの作品は、以下の通り。
他に絶版になってしまっているものもある。復刻を願うばかりだ。
*『熊とにんげん』福武文庫/1982年
* 『セーヌと釣りびとヨナス/いばりんぼの白馬』福武文庫/1991年
* 『セーヌの釣りびとヨナス』パロル舎/2002年
* 『クレーン男』パロル舎/2002年
* 『タイコたたきの夢』パロル舎/2002年

2006年08月26日

『風が吹くとき』レイモンド・ブリッグズ(篠崎書林)/1988年


風が吹くとき
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著者名:レイモンド・ブリッグズ(著)
     小林忠夫(訳)
出版社:篠崎書林
出版年:1982.01
ISBN :478410156X


アニメにもなった人気作品。
まさに冷戦下、核の恐怖が世界をおおっていた時代の作品である。
広島・長崎を過ぎ去ったこととしてとらえるのではなく、この作品のように現在とリンクさせて描く作品が、もっともっと出てきてもよいように思う。
現在アメリカが嵐のように降らせている劣化ウラン弾をはじめとする核兵器についてまで、もっと言及する作品が唯一の被爆国であるこの国から生まれてもいいはずである。

手元にあるレイモンド・ブリッグズの作品は、下記の通り。
*『ジエントルマン ジム』篠崎書林/1988年
* 『The Snowman』PUFFIN BOOKS/1978年

追記−1
*『サンタのクリスマス』(竹書房)/1994年
*『サンタのなつやすみ』(あすなろ書房)/1998年

2006年08月16日

『アンジュール ある犬の物語』ガブリエル・バンサン(ブックローン出版)/1993年


アンジュール ある犬の物語
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著者名:ガブリエル・バンサン
出版社:ブックローン出版
出版年:1993


本書は、ベルギーの人気絵本作家バンサンの処女作。
えんぴつデッサンの絵本で、言葉がいっさいないのが、その切なさをいっそうきわだたせている。

手元にあるバンサンの作品は以下の通り。
*『マリオネット』(BL出版)/1999年。


[追記]2008年1月13日
* 『天国は大騒ぎ 天使セラフィーノの冒険』(BL出版)1998年第3刷
天国の退屈な節度的生活に飽きたひとりの天使が騒動を巻き起こす。
ダ・ヴィンチも登場する。
2006年に逝ってしまったダ・ヴィンチの専門家であった友人片桐頼継のことを思い出す。
優しい気持ちになる。
* 『セレスティーヌ』(BL出版)2001年第13刷
何か内容とは裏腹に切なくなってしまう。
それが、バンサンの魅力かもしれない。

2006年08月11日

『エルマーのぼうけん』R・S・ガネット(福音館)/1994年


エルマーのぼうけん


著者名:ルース・スタイルス・ガネット(著)
     わたなべしげお(訳)
出版社:福音館書店
出版年:1963.07
ISBN :4834000133


ロングセラーをつづける人気のお話。
話はR・S・ガネット、絵はガネットのお母さんR・C・ガネット。
母子で作品をつくるなんて、素敵なことだ。
この本は、『エルマーとりゅう』『エルマーと十六ぴきのりゅう』とつづきます。いずれも福音館から出版されています。

2006年07月27日

『よるのきらいなヒルディリド』チェリ・デュラン・ライアン ぶん/アーノルド・ローベル え わたなべしげお やく(冨山房)/1975年


よるのきらいなヒルディリド
116.jpg
著者名:アーノルド・ローベル(画)
     チェリ・デュラン・ライアン(著)
     わたなべしげお(訳)
出版社:冨山房
出版年:1975.01
ISBN :457200207X


夜の嫌いなヒルディリドさんが、家から夜を追い出すナンセンスな奮闘物語。
黒の線画で描かれたアーノルド・ローベルの絵がいい味わいを出している。

[追記]2008年04月07日
* 『ふくろうくん』三木卓訳(文化出版局)1991年20刷
* 『おはなしばんざい』三木卓訳(文化出版局)1995年20刷
* 『ふたりはきょうも』三木卓訳(文化出版局)1995年34刷
どれも、話がゆっくりしていていい。絵も、味わい深い。
『ふたりはきょうも』の親友ふたりの話は、懐かしくもあり、特に好きな一書。

2006年06月01日

『すてきな 三にんぐみ』トミー・アンゲラー さく/いまえよしとも やく (偕成社)/1977年


すてきな三にんぐみ 改訂版


著者名:トミー・アンゲラー
     今江祥智
出版社:偕成社
出版年:1977.12
ISBN :4033270205


人気のエンゲラーの最初の絵本。
とてもいい話だ。
子どもたちの赤い衣装が、なんともかわいらしい。

[追記]2008年1月14日(月)
* 『かめのスープはおいしいぞ』アンドレ・オテールぶん トミー・ウンゲラーえ(ほるぷ出版)1997年第15刷
* 『FLIX フリックス』(BL出版)2003年第2刷
トミー・ウンゲラーには、話がどんなものであれ、根底に優しさの強さを感じる。
そういう意味でも『フリックス』は傑作だ。

[追記]2008年5月30日(金)
* 『ゼラルダと人喰い鬼』たむらりゅういち・あそうくみ訳(評論社)2000年14刷
構成的には『すてきな 三にんぐみ』と同じだが、やはりそれが何とも優しくていい。

[追記]2008年6月10日(火)
* 『ぺちゃんこスタンレー』ジェフ・ブラウン文/トミー・ウンゲラー絵/さくまゆみこ訳(あすなろ書房)1999年2刷
これは、いただけない。内容もそうだが、トミー・ウンゲラーの絵もあまりよくない。大好きなウンゲラーだけに、残念でならない。

2006年05月29日

『しずかな おはなし』サムイル・マルシャーク ぶん/ウラジミル・レーベデフ えうちだりさこ やく (福音館書店)/1990年


しずかなおはなし
著者名:サムイル・マルシャーク
     ウラジミル・レーベデフ
     うちだりさこ
出版社:福音館書店
出版年:1963.12
ISBN :4834000176


ロシア絵本のゴールデンコンビ。
話もおもしろいし、絵もすばらしい。
ロシアのアニメーション作家ノルシュテインも影響を受けているのではないかと思われる。きっと小さいとき読んでいただろう。

2006年02月08日

『「幻のロシア絵本」復刻シリーズ 全10巻』(淡交社)/2005年


「幻のロシア絵本」復刻シリーズ

著者名:マルシャーク,サムイル
     チェコフスキー,コルネイ
     オルスーフィエワ,A.
出版社:淡交社
出版年:2004.06
ISBN :4473031896


1920-30年代にロシアで刊行された幻の絵本。
収録されている作品は下記の通り。

1.「サーカス」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・レーベジェフ=絵
2.「おろかな子ねずみ」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・レーベジェフ=絵
3.「荷物」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・レーベジェフ=絵
4.「しましまのおひげちゃん」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・レーベジェフ=絵
5.「火事」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・コナシェーヴィチ=絵
6.「あわれなフェドーラ」
 コルネイ・チュコフスキー=詩/V.トワルドフスキー=絵
7.「おもちゃ」
 A.オルスーフィエワ=詩/リジャ・ポポーワ=絵
8.「紙とハサミ」
 レフ・ユージン&ヴィーラ・エルモラーエワ=絵
9.「郵便」
 サムイル・マルシャーク=詩/ミハイル・ツェハノフスキー=絵
10.「特別な服」
 ボリス・エルモレンコ=絵

ウラジーミル・レーベジェフの絵が最も好きだ。
でも、一番僕をひきつけたの作品は、「郵便」だった。受取人を追いかけて世界一周してしまう郵便の話。いろんな国の郵便配達夫が登場する。どうも僕は郵便配達夫に何か特別な思い入れがあるらしい。すぐに魅了されてしまう。何か特殊な幼児体験でもしているのだろうか。僕がつくる舞台作品にも、よく郵便配達夫は登場する。

『幻のロシア絵本』については、別項の『幻のロシア絵本1920-30年代 図録』もあわせて参照されたい。

2006年01月07日

『幻のロシア絵本 1920-30年代』芦屋市立美術館/東京都庭園美術館(淡交社)/2004年


幻のロシア絵本 1920-30年代
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著者名:芦屋市立美術博物館/東京都庭園美術館
出版社:淡交社
出版年:2004.03

20世紀初頭、世界で同時多発的に生まれた様々な芸術運動。
タダ・シュレアリズム、ロシア・アヴァンギャルト、未来派、表現主義等々。
僕は何といっても、ロシア・アヴァンギャルドが一番好きだ。
演劇、美術、建築、文学、どれをとっても興奮させられる。
そして、このロシアの絵本。
マヤコフスキーらが物語を書き、あのタトリンでさえ絵を描いている。特にウラジーミル・レーベジェフの絵は、素晴らしい。ダニイル・ハルムスの話は面白い。
ここで紹介されているロシア・アヴァンギャルド時代の絵本は、日本の前衛画家吉原治良のコレクションを中心としている。多彩で、子どもばかりでなく、大人も十分楽しめる。そして、その後の絵本の世界はもとより、日本のデザイン界にも大きな影響を及ぼした。
だが、1932年に全ソ連共産党中央委員会で「文学・芸術団体の改組についての決議」が採択され、本格的にスターリンの思想統制がはじまると、すぐれた芸術家は闇に葬られることになってゆき、この絵本の世界も衰退してゆく。これは、日本でも状況は同じであった。

余談ではあるが、僕が最も敬愛する演出家メイエルホリドも、粛清されたひとりである。
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