2008年10月28日

『風の王 砂澤ビッキの世界』柴橋伴夫(響文社)/2001年第2刷


風の王
231.jpg著者名:柴橋伴夫(著)
出版社:響文社
出版年:2001.03
ISBN :9784877990053


2008年7月に、舞踊家の麻生アユミとアイヌをめぐる作品『オラトリウムの森から』をつくった。
それで、アイヌに関する資料をいろいろ読んだのだが、おそらくアイヌ民族として最も過激に抵抗した人の名をあげるなら、木の彫刻家、砂澤ビッキだろう。
しかも、彼はひとりで抵抗した。
砂澤ビッキは、昔から最も好きな彫刻家のひとりだった。
本書は、渋澤龍彦をはじめとするビッキの意外な交友も含めて、ひと通り追っている。全体像を知るという意味ではよいかもしれない。
この本のなかにもしばしば名前が登場する現代美術家の岡部昌生さんと、先日飲みながら話した。
ビッキの名前を出したとたん、岡部さんの表情が変わった。非常に厳しい顔になる。
岡部さんは、ビッキが亡くなった直後、ビッキのアトリエに入り、そこにある作品をはじめとしてビッキの使用していたものを、フロッタージュという方法で記録した。
その岡部さんの表情の変化ひとつとってみても、砂澤ビッキという存在の大きさ、そして人とのつきあいの濃さがうかがえる。
いまでも風雪にさらされたビッキの作品が北海道にある。木彫ゆえに、やがて朽ちるだろう。
「風が彫る」
ビッキはそう言って、あえて木彫作品を野外に展示した。
朽ちる前に、なんとか目撃しなければならない。

手元にある砂澤ビッキ関係の書籍は、下記の通り。
* 『砂澤ビッキ−風に聴く』浅川泰(北海道新聞社)1996年
* 『砂澤ビッキ作品集』(用美社)1989年
posted by NIHEI at 17:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2006年09月04日

『魂の詩 秀島由己男展』図録(熊本県立美術館)/2000年


『魂の詩 秀島由己男展』図録
noimage-2.JPG



著者名:秀島由己男
出版社:熊本県立美術館
出版年:2000



秀島由己男さんの銅版画をはじめて見たのは、群馬県桐生市にある大川美術館ではなかったかと記憶する。
「霊歌」に代表される、口をポッカリとあけた人間の群れ。
強烈な印象だった。
後に、石牟礼道子さんの著作の挿絵をはじめとする、水俣病関係に秀島さんの画はよく登場していることを知る。
秀島さん自身は、水俣病を直接描いたとはいわないが、使われるのはよくわかる。
ジャーナリズムの写真とはまた別な、普遍性がそこにあるからだ。
秀島さんは、銅版画家の浜田知明さんにプレス機をもらい、銅版画をはじめたという。(浜田さんも大好きな銅版画家の一人だ)
一点々々、時間をかけた丁寧な仕事だ。
秀島さんの作品をこのようにまとめて見られる機会はなかなかないので、この図録は貴重である。
いつか、お会いしたい人のひとりだ。
posted by NIHEI at 13:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2006年02月11日

『雁がとぶ古城*チェコスロバキア旅のスケッチ』丸木俊(朔人社)/1977年


『雁がとぶ古城*チェコスロバキア旅のスケッチ』
noimage-2.JPG




著者名:丸木 俊
出版社:朔人社
出版年:1977

『原爆の図』で知られる丸木俊のチェコスロバキアを旅したときのスケッチ集。
丸木俊は、絵本作家でもある。このスケッチ集は、ちょうど『絵本』と『原爆の図』の間に位置するような印象を受ける。
自由でほのぼのとしたなかに、ときどき「プラハのエスさま」のようなドキッとするようなスケッチもある
posted by NIHEI at 13:22| Comment(2) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2006年02月02日

『20世紀版画の巨匠 浜口陽三展 展覧会カタログ』(日本経済新聞社)/2002年


『20世紀版画の巨匠 浜口陽三展 展覧会カタログ』
noimage-2.JPG




著者名:浜口陽三
出版社:日本経済新聞社
出版年:2002

カラー・メゾチントの創始者として世界的に知られる銅版画家・浜口陽三。(1909-2000)
17世紀に発明された技法メゾチントを復活させ、マニエル・ノワールを新たな芸術表現として完成させた厳格な長谷川潔に対して、浜口陽三は自由に版画に向かった。そこで生まれたのがカラー・メゾチント。
個人的には、駒井哲郎が最も好きな銅版画家ではあるのだが、年齢とともにあるまろやかさをもったマチエールにひかれはじめてもいる。

このカタログは、2002年、国立国際美術館、千葉市美術館、足利市立美術館、都城市立美術館、熊本県立美術館・本館を巡回した際に発行されたものである。
posted by NIHEI at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2006年02月01日

『山口薫 展』図録(東京ステーションギャラリー)/2003年


『山口薫 展』図録
noimage-2.JPG




著者名:山口薫
出版社:東京ステーションギャラリー
出版年:2003

山口薫(1907-1968)
詩心を持った画家といわれる山口薫。

「なみだを流して絵を描いたっていい
 そうして私は絵を描いて色を塗っているだけなのだ」

山口薫は好きな画家のひとりであることに違いはないのだが、どうも今ひとつのめりこめない。手ごたえが薄い感じがしてしまう。
それは、もしかしたら「絵」と「詩」がかならずしも幸福に出会っていないことに起因するのではないかと、そんなふうに僕は思ったりする。
posted by NIHEI at 21:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2006年02月01日

『異形の幻視力 小山田二郎 展』カタログ(毎日新聞社)/2005年


『異形の幻視力 小山田二郎 展』カタログ
noimage-2.JPG




著者名:小山田二郎
出版社:毎日新聞社
出版年:2005

小山田二郎(1914-1991)
美しい図録だ。
小山田二郎は、大好きな画家のひとりだ。
小山田二郎もあまり紹介されることの少ない画家であるため、画集などを入手することは困難だったが、2005年に「東京ステーション・ギャラリー」「高崎市立美術館」で展覧会が開かれ、このカタログが出版されたことは、ファンにとってはありがたい。
油絵も素晴らしいのだが、水彩画とスケッチに驚かされる。幻視者とひとことで言ってしまうのは簡単だが、それではおさまらない人間への深いまなざしと技術で見る者の精神の奥底まで迫りくる。
小山田二郎は、1971年57歳のとき、自宅から忽然と姿を消す。失踪だ。
その後、世間とは画廊に作品を送るだけの関係しかもたなくなる。
「なぜ?」と問う前に、ある誘惑を感じてしまう。
それは、死への失踪ではなく、生き延びるための失踪だから。
posted by NIHEI at 02:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2006年01月30日

『木村直道』図録(埼玉近代美術館)/2006年


『木村直道』図録
noimage-2.JPG




著者名:木村直道
出版社:埼玉近代美術館
出版年:2006

木村直道(1923-1972)
スクラプチャーのアーティスト。
スプラクチャーとは、廃品の「scrap」と彫刻の「sculpture」をあわせた造語である。
つまり、鉄などの廃品を使ってつくる彫刻作品。
言うまでもなく、遊び心満載の作品だ。
だが、木村直道は、1972年49歳の若さで唐突に自らの命を断つ。
2006年初めに開かれた埼玉近代美術館の展覧会に偶然入り、木村直道をはじめて知ったので、その詳細はわからない。
事実はわからないが、「遊びたっぷりの作品」と「自殺」は、相反するようでいて、もしかしたら背中合わせのものかもしれないとも感じる。
それほど木村直道の遊び心は、生真面目さで貫かれている。
posted by NIHEI at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2006年01月28日

『鴨居玲展 心酔・覚醒の画人』図録(西武アート・フォーラム)/1990年


『鴨居玲展 心酔・覚醒の画人』図録
noimage-2.JPG




著者名:鴨居玲
出版社:西武アート・フォーラム
出版年:1965

鴨居玲(1928-1985)
どうしようもなく、そこにありつづける人間の存在。
消しようも、隠しようもない人間の姿。
やりきれない人間の醜態。
だが、鴨居玲はそれこそが人間であると、愛情に満ちたまなざしを異常な集中力で投げかける。
その技法は、ゴヤを髣髴とさせる。
愛してやまない画家のひとりだ。

鴨居玲の画集はなかなか手に入らない。
昨年、大きな作品集が出たが、あまりに高額である。
カタログも見当らない。このカタログも偶然発見した。印刷もよく、メッケものだった。
posted by NIHEI at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2006年01月05日

『河鍋暁斎戯画集』山口静一 及川茂編(岩波文庫)/1988年


河鍋暁斎戯画集



著者名:河鍋暁斎
出版社:岩波書店
出版年:1988.08
ISBN :4003356012


幕末から明治にかけて活躍した反骨の絵師、河鍋暁斎。
僕の大好きな絵師のひとりだ。
とにかく抜群にうまい。と同時に、日本人にはめずらしくアイロニーに満ちている。この書は、戯画を中心におさめているが、いま見ても思わず笑ってしまうものも多い。地獄界の文明開化には吹きだしてしまう。
暁斎の仕事は多面的だ。多くの挿絵も書き、明治最初の「イソップ物語」でも、挿絵を担当している。
多くの教本としての絵本も書いている。そのうちの一冊『暁斎画譜』のなかの、盲目の子どもたちが生きる厳しさを描いた一枚がある。息をのむ一枚だ。
官憲に逮捕されるということもあったが、多くの弟子をもっていた。そのなかには、外国人もいた。ヨーロッパ人にとっても、暁斎の技術とアイロニーは脅威だったのだ。暁斎の画は、多く海外に流出している。これほど下絵が残っている絵師もめずらしいというが、その多くは海外の美術館が収蔵している。
肉筆画も素晴らしい。
河鍋暁斎、いい感じで狂っている!

このブログをHP(http://www.geocities.jp/ot_nao/)にのせているオータ・ナオさんは、大の妖怪好きと聞いている。
そういう人にもいち押しの本である。
posted by NIHEI at 22:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2005年12月13日

『丸木位里展』図録 広島県現代美術館(原爆の図丸木美術館)  /1992年


丸木位里展
noimage1.jpg




著者名:丸木位里〔画〕
出版社:広島県現代美術館
出版年:1992

「原爆の図」以外の丸木位里さんの水墨画を集めた展覧会の図録。
位里さんの水墨画の足跡を追うことで、「原爆の図」を読み解くヒントにもなる。それは、位里さんの態度もまた顕示している。
それは、共同作業とは何かという重要な問題を解く鍵へとつながる。

僕は個人的に牛の画が好きだ。
posted by NIHEI at 20:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2005年12月13日

『丸木位里のことば』財団法人原爆の図丸木美術館 編 /2001年


丸木位里のことば
noimage1.jpg




著者名:財団法人原爆の図丸木美術館 編
出版社:丸木美術館

たくさん残された丸木位里の言葉を集めたもの。
いつでも広島弁のまましゃべっていた位里さんの人柄が伝わってくる。
posted by NIHEI at 20:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2005年12月12日

『IWANAMI GRAPHICS 26 鎮魂の道 原爆・水俣・沖縄』 丸木位里/丸木俊/水上勉(岩波書店)


IWANAMI GRAPHICS 26 鎮魂の道 原爆・水俣・沖縄
noimage1.jpg



著者名:丸木位里, 丸木 俊著, 水上勉解説
出版社:岩波書店
出版年:1984.07

丸木位里・俊夫妻の対話を中心に原爆の図、水俣の図、沖縄戦の図などで構成した美しい装丁の本。
それにしても、丸木夫妻の発言はきわめて多い。絵にもまして、貴重な発言に耳を傾けなければならない。


Ohta Naoホームページ : http://www.geocities.jp/ot_nao/
posted by NIHEI at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2005年12月10日

『原爆の図』丸木位里・俊(原爆の図丸木美術館)/1996年


原爆の図 改訂新版
noimage1.jpg



著者名:丸木位里
出版社:原爆の図丸木美術館
出版年:1988.08
ISBN :4338081015


丸木位里・俊夫妻の共作『原爆の図』は、様々な本になっているが、丸木美術館が発行している図録が現在最も手軽に入手できる最良のものだろう。
はじめて丸木美術館を訪ねたときの衝撃は忘れられない。
ジャーナリズムの写真とは明らかに違う衝撃。これは、どこに由来するのだろう。
それは、「記憶」
posted by NIHEI at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア
ブログ検索