2008年08月07日

『gen 掛川源一郎が見た戦後北海道』(北海道新聞社)/2004年2刷


gen
著者名:掛川源一郎(著)
出版社:北海道新聞社
出版年:2004.04
ISBN :9784894532939


掛川源一郎もまた、木下清蔵同様、アイヌを撮りつづけた写真家である。
ただ、掛川の場合、その被写体はアイヌだけに限らなかった。
でも、不思議だ。
掛川源一郎の写真を見ていると、不思議な感覚に襲われる。
この感覚は何だろう。
例えば、自然とともに生活する人たちがいる。
例えば、無邪気に遊ぶ子どもたちがいる。
例えば、厳しい山々がある。
どれも素晴らしい。
その素晴らしさは、どれも共通する。
気配だ。
何の気配だろう。
それを言葉にするのは、難しい。
アイヌの言葉でいえば、「カムイ(神)」というのが、もっともしっくりくる。
この「カムイ」というのは、私たちが知っている、あるいは認知している「神」とは違う。
生活をともにしている神といえばいいだろうか。
あるいは、生活する神。
掛川源一郎の写真には、いつでもこの「カムイ」の気配で満ちている。
それゆえ、どの写真も優しい。
その優しさは、ウェットなものではなく、きわめて乾いている。
人間も自然もつつむカムイのその優しさに、魅かれてならない。
この写真集には、文化人類学者の山口昌男や写真家の吉田ルイ子などそうそうたる人が寄稿しているが、そのなかに工藤正廣の名があった。工藤正廣氏は、ここでも紹介した『パステルナール詩集』の翻訳者である。全く別のジャンルの人の名を発見することは、なにやらうれしくなる。
posted by NIHEI at 23:48| Comment(0) | TrackBack(0) | アイヌ
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