『レラコラチ 風のように 森竹竹市遺稿集』
著者名:森竹竹市
出版社:えぞや
出版年:1977
アイヌ民族を代表する歌人三人。
すなわち、バチェラー八重子、違星北斗、そして森竹竹市。
森竹竹市は、戦時中ということもあって、他の二人に較べてその表現が過激ではなく、それ故評価が低いという側面が伝えられる。
はたして、そうだろうか?
個人的には、最も普遍性を備え、クオリティの高い作品を残したのが森竹竹市だと感じる。
弱いのではなく、深い。
激しくないのではなく、遠い時間まで見通せたまなざし。
長いときを経て、それは歴然としたように思う。
たしかに、「運動」と「表現」、この関係性は難しい。
それは、今も昔も変わらない。
「運動」に対して直接的に貢献できるものを、運動家たちは喜ぶ。
だが、その直接性が強ければ強いほど、その表現、作品の命は短い。
皮肉な関係性だが、互いにもっと広い視野と、もっと長い時間的スパンを共有することによって、それは解決できるのではないか。
非常に困難な作業ではあるが、いまの短絡的な世界のなかで、そういった視点は、もっとも必要であり、求められているものではないか。
それにしても、アイヌの表現者たちのものは、なぜこんなにも「遺稿集」ばかりなのか。
やりきれなさを感じる。

