アイヌ学の夜明け 著者名:梅原猛(編集)
藤村久和(編集)
出版社:小学館
出版年:1990.05
ISBN :9784093900324
アイヌについては、『ユーカラ』に代表されるように言語を中心として研究されてきた。あるいは、「イヨマンテ」などの儀式、風俗、考古学などの個別の研究。
アイヌの人たちの減少、研究者の不足、それと対照的に、残された膨大な資料という現実からも推察できるように、個別の研究はなされても、アイヌ全体にまでは至っていない。
本書は、宗教をその根底にすえ、アイヌ全体を改めて見直す作業として、「アイヌ学」をかかげている。
哲学者梅原猛とアイヌ研究家の藤原久和が、アイヌをめぐる多くの人たちと対談、あるいはシンポジウムという形で話を聞いてゆく。
アイヌ研究者は、外国人が多いというのには、驚かされた。
そして、第二次世界大戦で、アーリア人を最高の民族としているドイツが極東の黄色人種である日本となぜ軍事同盟を組んだのか、その理由にアイヌが大きくかかわっていたことにも驚かされた。ヨーロッパ人にとって、日本の祖先はアイヌ民族であり、彼らは白人である、よって日本人は白人を祖先とする民族であると考えられたことによるという。アイヌ研究が海外で進んでいるのも、少なからずその考え方の影響によるという。
資料もまた、海外に多く存在しているともいう。
ここでは、国策や、その影響を受けた金田一京助らによって、日本とアイヌは民族的に無関係であるという学説をもう一度見直し、海外との共同研究を呼びかけている。
アイヌからは、哲学的思考方法まで学ぶことができることを痛感させられた。

