アイヌ神謡集 著者名:知里幸恵(編訳)
出版社:岩波書店
出版年:2002.12
ISBN :9784003208014
「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに」という美しい言葉から入る『アイヌ神謡集』
なんとおおらかで、豊かなリズムだろう。
アイヌにとって、すべてのものが同じ地平に存在し、すべてに神が宿る。
その世界観は、優しく、ときにユーモラスでさえある。
本書は、アイヌ語との対訳になっており、アイヌ語の音も楽しめる。
編訳の知里幸恵は、アイヌの才女。金田一京助との出会いにより、その才能を花開かせるが、19歳という若さで逝ってしまった。
知里幸恵自身の心あたたまる脚注に、その人柄が、そしてアイヌの豊かさがうかがえる。
この豊かなアイヌを迫害し、差別し、ときに虐殺までしたのは、私たち日本人だった。私たちの祖先かもしれないにもかかわらず。
消されてゆくアイヌのその歴史のなかに、実は近代日本の暗い闇の精神性が隠されている。
