聖−歌章 著者名:稲川方人(著)
出版社:思潮社
出版年:2007.10
ISBN :9784783730286
危機に瀕した現在の世界は、困難である。
その困難な世界にいて、詩を書くこともまた、困難である。
そのなかで、世界と正確な距離を保ちながら対峙しつづける詩人の存在、それもまた困難である。
近代以降、あるいは人間が近代を意識して以降、あるいはアウシュヴィッツ、南京、広島・長崎以降、あるいは冷戦構造崩壊以降、あるいは9.11以降、その困難さは後戻りできないだけに複雑さを増すばかりである。
近代以降の困難な世界のなかで、この一冊の詩集『聖−歌章』は、ひとつの金字塔といえるだろう。
「9.11以降、ますます詩の役割は大きくなった」
「詩を書くのは、世界と対峙するため」
これらの強い言葉は、実際に稲川方人さんの口から聞いた言葉である。
パレスチナの詩人ダルウィーシュと、互いに遠く離れた場所にいるが、たしかにこの困難な世界を通じて、ふたりはつながっている。
そのようなつながりのなかで、世界は新たな様相を示してくるだろう。
そして、改めてジャン・リュック・ゴダールの『ベトナムから遠く離れて』を思い出したりもする。
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ここ数年、稲川さんとは「歌唱ライブ」という新たなジャンルで仕事を一緒にしている。
現代詩と身体的な声を、音楽で結ぶ実験といえる。
稲川さんをはじめ、瀬尾育生さん、倉田比羽子さん、守中高明さん、伊藤悠子さんの現代詩に、僕が曲をつけ、パフォーマーの祥子-SHOKOが歌う。
多少、歌のために変更されてはいるが、この『聖−歌章』におさめられた2編の詩も、そのレパートリーに入っている。
手元にある稲川方人さんの著作は、下記の通り。
* 詩集『償われた者の伝記のために』(書記書林)1976年
* 詩集『封印』(思潮社)1985年
* 詩集『われらを 生かしめる者は どこか』(青土社)1986年
* 詩集『アミとわたし』(書肆山田)1988年
* 詩集『2000光年のコノテーション』(思潮社)1991年
* 詩集『君の時代の貴重な作家が死んだ君が書いた幼い詩の復習』(書肆山田)1997年
* 『稲川方人 全詩集』(思潮社)2002年
* 『彼方へのサボタージュ』(小沢書店)1987年
* 『反感装置』(思潮社)1987年


そして、2008年2月16日、稲川さんの企画である祥子歌唱ライブが開かれます。
今回は、アフタートークで、稲川さん自身が出席します。
http://www.cc9.ne.jp/~nihei-1817/shoko_live4.html