2006年08月31日

『チャペックの本棚 ヨゼフ・チャペックの装丁デザイン』(ピエ・ブックス)/2003年


チャペックの本棚


著者名:千野栄一(訳)
出版社:ピエ・ブックス
出版年:2003.03
ISBN :4894442493


ヨゼフ・チャペックは、チェコ・アバンギャルドを代表する画家であり、グラフィック・デザイナー。
『ロボット』や『山椒魚戦争』でも有名な作家カレル・チャペックの兄でもある。近年、カレルの『ダーシェンカ』という犬の本がヒットしたが、そこでもヨゼフは登場する。
ヨゼフは、カレルのほとんどの著作の装丁を手がけた。
この時代の仕事が、今日に与えた影響は計りしれない。
本書は、チェコ文学者の千野栄一氏の半生をかけたコレクション。
「新しいものは、懐かしい」
僕はずっとそう思っている。
このヨゼフ・チャペックの仕事も、いまなお「新しく、そして懐かしい」

ヨゼフに関する資料は、下記の通り。
これもまた素晴らしい装丁の図録ではあるが、何より神奈川県立近代美術館で開かれた展覧会自体が素晴らしかった。
* 『チャペック兄弟とチェコ・アヴァンギャルド』I.D.F/2002年


[追記]2008年1月16日(水)
* 『青い空』ヨゼフ・チャペック絵 フランチシェク・フルビーン詩 いでひろこ訳 たかぎあきこ協力(偕成社)1997年2刷
これは、ヨゼフが亡くなって3年後、子どもの情景を描いたパステル画に、フルビーンが詩をつけたもの。
そのタッチは、簡潔で、どこか東洋風でもある。
ヨゼフは、晩年、ナチスの強制収容所に送られ、そこで亡くなっている。
この『青い空』というタイトルは、強制収容所でヨゼフが残した文章からとられている。

あの 大空の青
そんな青い絵を わたしはかきたい
いつも喜びと幸せにみちていた
ふるさとの家から立ち登る うす青い煙
そして 子どもたちのあそびのなかの青
わすれな草の花のように青く
つぐみのさえずりのように青く
あやめやつりがね草が 花開くとき
たくさんの青いうぬが 生まれ
わたしの愛する人のリボンも青かった・・・
ヨゼフ・チャペック 1944年
ザクセンハウゼン収容所にて
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2006年08月27日

『レクトロ物語』ライナー・チムニク(福音館文庫)/2006年


レクトロ物語


著者名:ライナー・チムニク(著)
     上田真而子(訳)
出版社:福音館書店
出版年:2006.06
ISBN :4834021734


面白い! 抜群に面白い! メチャクチャ面白い!
久しぶりに読み終えるのがもったいないと感じた作品。
そして、何という幕切れ。
「レクトロさ〜ん!」と思わず呼びかけてしまう。
ライナー・チムニクは、ドイツの作家。
文章と挿絵を同時にリンクさせた独特の作品を構築している。
寓話性に富んだその作品は、ときに笑わされ、ときに背筋をゾッとさせられる。
何よりその視線が、徹底して市民の視線であるということが素晴らしい。
こんなに夢中にさせられたのは、シルヴァスタイン以来かもしれない。僕は、『歩道の終わるところ』が大好きだ。

手元にあるチムニクの作品は、以下の通り。
他に絶版になってしまっているものもある。復刻を願うばかりだ。
*『熊とにんげん』福武文庫/1982年
* 『セーヌと釣りびとヨナス/いばりんぼの白馬』福武文庫/1991年
* 『セーヌの釣りびとヨナス』パロル舎/2002年
* 『クレーン男』パロル舎/2002年
* 『タイコたたきの夢』パロル舎/2002年

2006年08月26日

『風が吹くとき』レイモンド・ブリッグズ(篠崎書林)/1988年


風が吹くとき
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著者名:レイモンド・ブリッグズ(著)
     小林忠夫(訳)
出版社:篠崎書林
出版年:1982.01
ISBN :478410156X


アニメにもなった人気作品。
まさに冷戦下、核の恐怖が世界をおおっていた時代の作品である。
広島・長崎を過ぎ去ったこととしてとらえるのではなく、この作品のように現在とリンクさせて描く作品が、もっともっと出てきてもよいように思う。
現在アメリカが嵐のように降らせている劣化ウラン弾をはじめとする核兵器についてまで、もっと言及する作品が唯一の被爆国であるこの国から生まれてもいいはずである。

手元にあるレイモンド・ブリッグズの作品は、下記の通り。
*『ジエントルマン ジム』篠崎書林/1988年
* 『The Snowman』PUFFIN BOOKS/1978年

追記−1
*『サンタのクリスマス』(竹書房)/1994年
*『サンタのなつやすみ』(あすなろ書房)/1998年

2006年08月24日

『小川未明童話全集』1(講談社)/1987年


定本小川未明童話全集 1
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著者名:小川未明(著)
出版社:講談社
出版年:1976.01
ISBN :4061448013


一度手にとってもらいたい。
ハードケースから出すと、布張りの上に白と金でおされた不思議な図案。
手に乗せた感触が違う。思わずニヤニヤしてしまう。
装丁をしたのは、武井武雄。
本を開いて、またよだれがたれそうになる。
目次から素晴らしい。
挿絵も豊富だ。
挿絵は、川上四郎、渡辺ヨヘイ、深沢省三、初山滋、池田永治、武井武雄、広島新太郎、山路真護と豪華だ。

この第一巻は、初期の『赤い船』『星の世界から』『金の輪』『赤い蝋燭と人魚』から編まれている。
代表作がひしめくこの初期の作品を書いていた頃、小川未明はまだ童話作家ではなく、小説家として活躍していた。自身も小説家と自認していたというから驚く。まだまだ童話が、小説に比べてランクが低いとされていた時代だ。

2006年08月21日

手塚治虫漫画全集『どろろ@ABC』(講談社)/1981年


どろろ 1


著者名:手塚治虫(著)
出版社:講談社
出版年:1981.03
ISBN :4061087479


かつて手塚治虫論を書こうとしたことがある。それも、宮沢賢治との比較により進めようと考えた。
宮沢賢治の極めて特異な「性」を扱った作品を見つけた。ふとのぞかせてしまったつぶやきのようなその小品のなかに、僕は賢治の隠れた本質を見出した。
同じように手塚治虫の作品のなかにもそれを見つけようとした。そのためにかなりの作品を読んだのだが、何も見出すことはできなかった。せいぜい「エロスとは、メタモルフォーゼ」という言葉を見出すぐらいだった。
そういったなかで、この『どろろ』は何かを垣間見せてくれるのではないかと期待した一書だった。
だが、残念ながら様々な都合で、突然終わってしまっている。どろろはなぜ女でなければならなかったのか。気になるところだ。
あとがきを読んでも、水木しげるに代表される妖怪ブームに対抗しようとして書きはじめられたせいか、あまり手塚治虫自身の愛着を感じられない。残念だ。
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2006年08月20日

『片耳の大シカ』椋鳩十(偕成社文庫)/1987年


片耳の大シカ



著者名:椋鳩十(著)
出版社:偕成社
出版年:1975.12
ISBN :4036500902


動物もののお話といえば、鳩椋十といわれるぐらい、有名だ。
鳩椋十は、小説家として出発し、豊島与志雄に師事した。
疲れたときや、なにもかもがいやになったときなど、読むことをお薦めします。

2006年08月18日

『ヘンテコどうぶつ日記』長新太(理論社)/1990年


ヘンテコどうぶつ日記
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著者名:長新太(著)
出版社:理論社
出版年:1989.03
ISBN :4652008503


長さんのナンセンスの世界は、ほんとうに面白い。
長さんのように世界が見えたなら、どんなに世界は驚きに満ち、新鮮なまま輝きつづけていることだろう。

2006年08月16日

『アンジュール ある犬の物語』ガブリエル・バンサン(ブックローン出版)/1993年


アンジュール ある犬の物語
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著者名:ガブリエル・バンサン
出版社:ブックローン出版
出版年:1993


本書は、ベルギーの人気絵本作家バンサンの処女作。
えんぴつデッサンの絵本で、言葉がいっさいないのが、その切なさをいっそうきわだたせている。

手元にあるバンサンの作品は以下の通り。
*『マリオネット』(BL出版)/1999年。


[追記]2008年1月13日
* 『天国は大騒ぎ 天使セラフィーノの冒険』(BL出版)1998年第3刷
天国の退屈な節度的生活に飽きたひとりの天使が騒動を巻き起こす。
ダ・ヴィンチも登場する。
2006年に逝ってしまったダ・ヴィンチの専門家であった友人片桐頼継のことを思い出す。
優しい気持ちになる。
* 『セレスティーヌ』(BL出版)2001年第13刷
何か内容とは裏腹に切なくなってしまう。
それが、バンサンの魅力かもしれない。

2006年08月13日

《こどものとも》傑作集39ロシア民話『うさぎのいえ』内田莉莎子 再話/丸木俊 画 (福音館書店)/1963年


うさぎのいえ
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著者名:内田莉莎子(著)
     丸木俊(画)
出版社:福音館書店
出版年:1998.03
ISBN :4834003973


この話は、ロシアのアニメーション作家ノルシュテインもアニメ作品にしている。
ノルシュテインの画も大好きなのだが、この俊さんの画もまた素晴らしい。

この内田さんと俊さんのコンビの作品に以下のものもある。
この画も素晴らしい。
*《こどものとも》傑作集20スロバキア民話『12のつきのおくりもの』(福音館書店)/1971年

[追記]2008年1月16日(水)
*『うみのがくたい』丸木俊え 大塚勇三さく(福音館書店)1964年

2006年08月11日

『エルマーのぼうけん』R・S・ガネット(福音館)/1994年


エルマーのぼうけん


著者名:ルース・スタイルス・ガネット(著)
     わたなべしげお(訳)
出版社:福音館書店
出版年:1963.07
ISBN :4834000133


ロングセラーをつづける人気のお話。
話はR・S・ガネット、絵はガネットのお母さんR・C・ガネット。
母子で作品をつくるなんて、素敵なことだ。
この本は、『エルマーとりゅう』『エルマーと十六ぴきのりゅう』とつづきます。いずれも福音館から出版されています。

2006年08月08日

『おひさまのかけら「こどもの詩」20年の精選集』川崎洋 編(中央公論新社)/2005年


おひさまのかけら


著者名:川崎洋(編集)
出版社:中央公論新社
出版年:2003.02
ISBN :4120033597


読売新聞の「こどもの詩」のコーナーは、もう40年もつづいているという。
その40年のうちの1982年から2002年までの20年間は、詩人の川崎洋が選評を担当した。
本書は、その20年間投稿された子どもたちの詩の精選集。
ときに子どもたちのユーモアに笑い、ときにその新鮮なまなざしにドキリとさせられ、ときのその無垢な言葉に涙が流れる。
この詩集は、2004年ことばパフォーマーのはせみつこさんによって3枚組のCDになった。作曲とピアノを担当したのは、中地雅之さん。
ちなみに僕ははせさんの舞台の演出を13年担当している。この『おひさまのかけら』も、ライブとして上演した。子どもも驚くほどの集中力で聞いていた。やはり、子どもたちの息づかいそのままのような言葉は、力を持っていると痛感した。
残念ながら、川崎さんは2004年お亡くなりになった。一度お会いしたかった。

この川崎洋編の「子どもの詩」は、別に以下の本がある。
* 『あたまわるいけど学校がすき』(中公新書ルクレ)/2002年
* 『にんげんぴかぴか』(中公新書ルクレ)/2005年
posted by NIHEI at 10:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩歌/アジア

2006年08月06日

『しばてん』たしま せいぞう(偕成社)/1971年


しばてん


著者名:田島征三(著)
出版社:偕成社
出版年:1971.04
ISBN :4032040508


僕がはじめて田島征三さんを知ったのは、『絵の中のぼくの村』という映画だったと記憶する。
それ以来、田島征三さんのファンになった。
本書『しばてん』は、田島さんが美術大学を卒業するときに制作したものという。素晴らしい才能だ。

田島さんは、近年癌を患ったという。それ以来、廃棄物処分に関して命がけで戦っているという。そのへんのことは、下にあげた『ガオ』の折り込み付録のなかに詳しい。そのなかでの、次の言葉は愉快だ。

「それは六十歳を過ぎて癌を患い、自分はもうせいぜいあと五十年位しかモノ創りはできないではないか! と気づいたときである。アーティストとしてバリバリやれるのは百歳とちょっとくらいかなと考えると、かなり焦る気持ちが湧きおこってきてしまうのだ」

『ガオ』は、木の実でつくった絵本である。その創作態度は、真摯に受け止めなければならない。

手元にある田島征三さんの他の本は、下記の通り。
* 《こどものとも》傑作集40『ふるやのもり』瀬田貞二 再話/1965年
* 《こどものとも》傑作集55『だいふくもち』(福音館書店)/1976年
* 『友だちの絵本』(晶文社)/1993年
* 『絵の中のぼくの村』(くもん出版)/1996年
* 『いのちを描く』(童心社)/1996年
* こどものとも548号『ガオ』(福音館)/2001年


[追記]2008年1月14日(月)
* 『やぎのしずか1 こやぎが やってきた』(偕成社)1994年12刷
* 『ほら いしころが おっこちたよ ね、わすれようよ』(偕成社)2004年9刷
田島征三さんの絵は大好きなのだが、『ほら いしころが おっこちたよ ね、わすれようよ』はアート的にも抜きん出ている。
それは、まど・みちおさんの絵に通じるところがある。

2006年08月03日

《こどものとも》傑作集6『ねずみじょうど』瀬田貞二 再話/丸木位里 画 (福音館書店)/1967年


ねずみじょうど

著者名:瀬田貞二(著)
     丸木位里(画)
出版社:福音館書店
出版年:1971.03
ISBN :4834002594


『おむすびころりん』で知られる伝承的昔話のひとつ。
むすびの言葉「とっぴん はらいの ぴい」が何ともいい。
『原爆の図』で知られる丸木位里さんの画も、位里さんらしくていい。
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