2006年02月27日

『スースーとネルネル』荒井良二(偕成社)/1996年


スースーとネルネル



著者名:荒井良二
出版社:偕成社
出版年:1996.05
ISBN :4032276307


売れっ子の荒井良二さんの作品。
一見子どもの落書きのようなタッチではあるが、やはりうまい。そして、丁寧だ。
そういったところが、子どもたちをひきつけるのだろう。
この作品でも、夜の多彩な世界を、ダイナミックに描いている。

2006年02月26日

『ジャリおじさん』おおたけしんろう(福音館)/1993年


ジャリおじさん



著者名:大竹伸朗
出版社:福音館書店
出版年:1994.11
ISBN :4834012794


現代アーティストの大竹伸朗の絵本。
いつもの大竹氏の作風そのままに、何とも不思議で楽しい物語を描いている。
ジャリおじさんが、何ともいい味を出している。

2006年02月25日

『ノンビリすいぞくかん』長新太(理論社)/2000年


ノンビリすいぞくかん



著者名:長新太
出版社:理論社
出版年:1996.02
ISBN :4652008546


のんびりで、とぼけた長さんの作品を読むと、本当にせわしない日常がアホらしくなる。
ゆっくりと、じっくりと、日常の細部へむけられた好奇心のまなざしから、長さんのトッピな作品は生まれている。
この作品では、絵本と漫画が同時に楽しめるのもうれしい。

2006年02月23日

『名著復刻 日本文学館 小さな鳩』田山花袋(ほるぷ出版)/1974年


名著復刻 日本文学館 小さな鳩
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著者名:田山花袋
出版社:ほるぷ出版
出版年:1974

国木田独歩らの自然主義文学は、退屈であまり好きではない。
ただ、田山花袋は郷里が同じなので、いつかは読んでみなければと思っていたのだか、その機会はなかった。
本書は、子供向けに書かれているので、読んでみる気になった。
舞台となっている沼や城址などは、僕もよく知っている場所だ。そのせいか、面白く読んだ。
だが、この面白さはなんだろう?
そして、思った。これは、エッセイを読む面白さだと。
おそらく田山花袋の他の作品を読む機会は、まだずっと先になるのだろう。

2006年02月22日

『名著復刻 日本文学館 月と胡桃』北原白秋(ほるぷ出版)/1974年


名著復刻 日本文学館 月と胡桃
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著者名:北原白秋
出版社:ほるぷ出版
出版年:1974

北原白秋の童謡詩集。
完成度の高い詩集だ。厳しさを感じる。
挿画は、亀山巌。中世ヨーロッパ風のタッチがなんともいい。

2006年02月20日

『名著復刻 日本文学館 日本童謡選 あやとりかけとり』竹久夢二編(ほるぷ出版)/1974年


名著復刻 日本文学館 日本童謡選 あやとりかけとり
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著者名:竹久夢二
出版社:ほるぷ出版
出版年:1974

新しい童謡が興隆してくるなか、土地々々の子どもたちが口ずさんでいた昔からの無名性の童謡を集めたもの。
新しいものと古いもの、どちらも共存する世界が、その世界自体を多面的にし、豊かにしてゆく。
本書は、竹久夢二が旅のなかで自ら集めたもの。
竹久夢二といえば、黒猫を抱いた柳腰の和服の女性の絵とともに大正ロマンを代表する存在となっているが、僕はそのロマンチシズムは好きではない。
注目すべきは、彼のデザイナーとしての才能だ。この本も自ら装丁しているが、やはり美しい。他に、数多くのポスターをはじめ、キャラメルの箱のデザインまでしている。
そして、女性ばかりでなく、子どもの絵も多く手がけている。それもいい。
そもそも、明治、大正、昭和という流れのなかでこの時代をとらえ、大正ロマンというような狭い世界のなかでの批評は、ノスタルジーしか生まず、もはやあまり有効だとは思えない。
大正時代は、世界が最も幸福だといわれた1920年代に当たる。20世紀の新しい芸術運動はこの時代にすべて生まれている。その影響を日本もリアルタイムで受けている。ロシア・アヴァンギャルドしかり、シュルレアリズムしかり。
この時代の面白さは、近代の幕があいたにもかかわらず、まだ前近代的なものとの共存のなかにあったところにある。だから、世界は不思議に満ちていて、豊かであったのではないか。故に、モダンは新しくて懐かしい。

2006年02月19日

『名著復刻 日本文学館 ちるちる・みちる』山村暮鳥(ほるぷ出版)/1974年


名著復刻 日本文学館 ちるちる・みちる
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著者名:山村暮鳥
出版社:ほるぷ出版
出版年:1974

驚きの一冊である。
山村暮鳥の名は、どこか古臭く、遠い遠い昔の人という先入観があって、全く読んでこなかった。先入観は、本当に恐ろしい。先入観とは、「知らない」にもかかわらず自分の価値観だけで知っているかのごとく判断することだから。
山村暮鳥は、萩原朔太郎と同世代である。胸にボードレールをひそませながら、アヴァンギャルドの詩を発表するところから出発する。
暮鳥は、比喩ではなく、伝道師であった。それで生計を立てていた。その仕事の関係上、各地を転々とした。迫害も受けた。
童話は、結核をわずらった晩年になってから書きはじめる。
童話は、「詩の最高の形式である」とかねがね僕は思っている。この童話集『ちるちる・みちる』は、それを示している。
僕と同じような先入観で、あまり読まれなくなっているとしたら、この損失はあまりに大きい。
山村暮鳥は、いまなお新しく、読みつづけられてしかるべき詩人である。
序も素晴らしい。
これもまた本当に美しい本なのだが、装丁者の名が記されていないのが残念。

個人的に思うところもあり、山村暮鳥研究に入ろうと思っている。

『名著復刻 日本文学館 魔法』坪田譲治(ほるぷ出版)/1974年


名著復刻 日本文学館 魔法
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著者名:坪田譲治
出版社:ほるぷ出版
出版年:1974

一瞬の子どもの心の揺れ。
その一瞬の揺れを、坪田譲治は的確にとらえる。しかも、さりげなく。
この子どもの心の一瞬の揺れを的確にとらえ、しかもそれにことさらスポットをあてることもなく、リアルタイムの時間の流れにまかせるという作業は、本当に至難の業だ。自意識の強い作家にはできない仕事だ。
日常に耐えられるナイーブさこそ、子どもの世界かもしれない。
そんな世界を描く坪田譲治に驚かされた。
装丁は、深澤省三。
これもまた美しい本だ。

2006年02月18日

『名著復刻 日本文学館 十五夜お月さん』野口雨情(ほるぷ出版)/1974年


名著復刻 日本文学館 十五夜お月さん
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著者名:野口雨情
出版社:ほるぷ出版
出版年:1974

野口雨情の詩の世界の言葉は、実は非常に狭い。
北原白秋や西條八十にくらべて広がりがない。ひとつの詩のなかで、同じ言葉を繰り返し、そこに飛躍は生まれない。その繰り返される言葉は、他の詩にも乱用される。
だが、童謡のなかではそれがいい。不思議なことに、ひとつの世界が構築される。童心の詩人とよばれる所以であろうか。美しい装丁のなかで読むと、それはひとしおである。
この本の装画は、岡本帰一。
楽譜まであり、本当に美しい本だ。

2006年02月15日

『名著復刻 日本文学館 西條八十童謡全集』西條八十(ほるぷ出版)1974年


名著復刻 日本文学館 西條八十童謡全集
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著者名:西條八十
出版社:ほるぷ出版
出版年:1974

童謡詩人の第一人者、西條八十。
にもかかわらず、しっかり読んだことはなかった。名前は知っているが、読んだことはない作家のひとりであった。(金子みすずの原稿を送られたままで発表しなかったなどという風聞ばかり知っている)
読んでみて驚いた。厳しい。西條八十は厳しい。
詩の品格を保ち、そしてかつ子どもたちの暗誦にたえられるものとして、西條八十は童謡に向かう。

少し気になることがある。
童話や童謡を書く人たちの多くが、時代もあるのだろうが、子どもを失っている。西條八十もそうだし、山村暮鳥もそうだ。野口雨情も失ってはいないが、妻子を残して失踪している。国は違うが、子どもの像を数多く残したノルウェーの国民的彫刻家グスタフ・ヴィーゲランも、離婚し、その後一切自分の子どもに会おうとはしなかった。調べれば、もっといるだろう。
子どもを相手にした者たちの多くが、どんな形であれ子ども失っている。そして、みなその創作態度は厳しい。何か関連があるのか、そんなことを思ってみたりする。

この本に挿絵がないのは残念だったが、久しぶりにペーパーナイフで切りながら頁を繰るという行為は楽しかった。

2006年02月12日

『名著復刻 日本文学館 トンボの眼玉』北原白秋(ほるぷ出版)/1974年


『名著復刻 日本文学館 トンボの眼玉』
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著者名:北原白秋
出版社:ほるぷ出版
出版年:1974

大正時代の本の装丁は、実に美しい。
デザインもいい。色もいい。
この「名著復刻」のシリーズは、当時の本をそのまま再現していてくれて、楽しい。
同時に、童話、童謡に対しての著者たちの思いは熱い。
北原白秋は、近代詩の牽引者であったが、童謡詩人としても活発に活動した。「マザー・グース」も翻訳している。
この「トンボの眼玉」は、その童謡詩集の一冊。
挿絵は、矢部季、清水良雄、初山滋が担当している。特に初山茂の挿絵は、一種異様で面白い。

残念ながら、既に絶版となっているが、古書店で大正時代の童話作家の書籍が高額をしめしているなか、このシリーズは廉価で簡単に手に入る。

2006年02月11日

『雁がとぶ古城*チェコスロバキア旅のスケッチ』丸木俊(朔人社)/1977年


『雁がとぶ古城*チェコスロバキア旅のスケッチ』
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著者名:丸木 俊
出版社:朔人社
出版年:1977

『原爆の図』で知られる丸木俊のチェコスロバキアを旅したときのスケッチ集。
丸木俊は、絵本作家でもある。このスケッチ集は、ちょうど『絵本』と『原爆の図』の間に位置するような印象を受ける。
自由でほのぼのとしたなかに、ときどき「プラハのエスさま」のようなドキッとするようなスケッチもある
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2006年02月10日

『詩集 おかあさん』サトウハチロー(R出版)/1963年


詩集おかあさん3冊セット



著者名:サトウハチロー
出版社:日本図書センター
出版年:1998.10
ISBN :4820519794


ハードケースに収められた三冊本。
この本は、後にいくつか出版社を変え、現在は「日本図書出版」から発行されている。
このR出版社から発行されたものが、僕は最も気に入っている。とてもシンプルで、色もいい。
挿絵は、鈴木信太郎。これもシンプルでいい。
それにしても、サトウハチローは変な男である。「私的叙情」とでも呼べばいいのだろうか。だから、とても弱っているときなどにこれを読むと、その「私的叙情」が不思議と静かに共鳴したりする。
僕は風邪をひき、熱の小康状態のときに読んでしまったために、不覚にもサトウハチローのことを少し好きになってしまった。


追記1
*『心のうた サトウハチロー抒情詩集』(サンリオ出版)1972年

2006年02月08日

『「幻のロシア絵本」復刻シリーズ 全10巻』(淡交社)/2005年


「幻のロシア絵本」復刻シリーズ

著者名:マルシャーク,サムイル
     チェコフスキー,コルネイ
     オルスーフィエワ,A.
出版社:淡交社
出版年:2004.06
ISBN :4473031896


1920-30年代にロシアで刊行された幻の絵本。
収録されている作品は下記の通り。

1.「サーカス」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・レーベジェフ=絵
2.「おろかな子ねずみ」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・レーベジェフ=絵
3.「荷物」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・レーベジェフ=絵
4.「しましまのおひげちゃん」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・レーベジェフ=絵
5.「火事」
 サムイル・マルシャーク=詩/ウラジーミル・コナシェーヴィチ=絵
6.「あわれなフェドーラ」
 コルネイ・チュコフスキー=詩/V.トワルドフスキー=絵
7.「おもちゃ」
 A.オルスーフィエワ=詩/リジャ・ポポーワ=絵
8.「紙とハサミ」
 レフ・ユージン&ヴィーラ・エルモラーエワ=絵
9.「郵便」
 サムイル・マルシャーク=詩/ミハイル・ツェハノフスキー=絵
10.「特別な服」
 ボリス・エルモレンコ=絵

ウラジーミル・レーベジェフの絵が最も好きだ。
でも、一番僕をひきつけたの作品は、「郵便」だった。受取人を追いかけて世界一周してしまう郵便の話。いろんな国の郵便配達夫が登場する。どうも僕は郵便配達夫に何か特別な思い入れがあるらしい。すぐに魅了されてしまう。何か特殊な幼児体験でもしているのだろうか。僕がつくる舞台作品にも、よく郵便配達夫は登場する。

『幻のロシア絵本』については、別項の『幻のロシア絵本1920-30年代 図録』もあわせて参照されたい。

2006年02月07日

『おじいさんが かぶを うえました 月刊絵本「こどものとも」50年の歩み』(福音館書店)/2005年


おじいさんがかぶをうえました



著者名:
出版社:福音館書店
出版年:2005.11
ISBN :4834021475


1956年から、毎月刊行された月間絵本『こどものとも』。
2005年、創刊50年を迎えた。それを記念して出されたのが本書。
50年をヴィジュアル豊かに振り返っている。
『こどものとも』から様々な絵本作家らが生まれている。『ぐりとぐら』の中川李枝里子さんと山脇百合子さんは、その代表といえるだろう。他にも、そうそうたる名前が並んでいる。堀内誠一、田島征三、長新太、丸木俊、岸田衿子、谷川俊太郎、石井桃子、等々。
今まで刊行された603作品の表紙とあらすじを紹介してくれているのもうれしい。

2006年02月06日

『思い出の名作絵本 岡本帰一』(河出書房新社)/2001年


岡本帰一



著者名:岡本帰一
出版社:河出書房新社
出版年:2001.08
ISBN :4309727115


童画家・岡本帰一(1888-1930)。
「コドモノクニ」を中心に活躍。
「民衆座」の『青い鳥』の舞台美術も担当し、高い評価を受ける。
この本には、岡本帰一の仕事を紹介するのと同時に「コドモエホンブンコ」の絵本『ユメノリヨカウ』が収録されている。
武井武雄とはまた違うモダンな絵を描く人だ。西欧への憧憬をはらんだそのハイカラさに、当時の子どもたちは夢ふくらませていたのだろう。
「コドモノクニ」(1931年3月号)に掲載された『ボク ノ ポチ』という絵がある。幼児が自分より大きい犬に抱きついている絵だ。その幼児の何とも柔らかい表情に、見ているこちらまでくすぐったくなってくる。
だが、この絵が岡本帰一の最後の絵となる。腸チフスによる急逝。享年42歳。あまりに早すぎた死である。周りに与えたショックもかなり大きかったという。
だが、第二次世界大戦が迫る暗い時代まで生きなかったというのは幸いだったかもしれないと、慰みに思ったりもする。それほど岡本帰一が逝った後の時代は、アーティストたちにとっては苦渋の選択を迫る過酷なものだった。特に子どもたちを相手にしていた者たちにとっては。

2006年02月04日

『開館記念展U もうひとつの扉−20世紀・アーティストの本』図録 (うらわ美術館)/2000年


『開館記念展U もうひとつの扉−20世紀・アーティストの本』図録
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出版社:うらわ美術館
出版年:2000

うらわ美術館は、2000年に開館した。
その基本となる柱は、「浦和ゆかりの美術家」「本をめぐるアート」の2点。
この図録は、開館記念として「本をめぐるアート」の最初の展覧会のものだ。
20世紀の書物の歴史を網羅している。20世紀初頭に起きた様々な芸術運動から生まれたものから戦後のポップに至るまで。それはそれは美しいものばかりだ。
舞台芸術が総合芸術といわれるのと同様、書物もまた総合芸術の産物だ。文章を書く者、画を描く者、編集・デザインする者、印刷する者と様々な人間が集まり、完成する。故に、書物はひとつの「宇宙」といえる。一冊の書物にかかわった多くの人たちの手の作業が伝わってくる。
どれも美しいのだが、個人的にはやはりロシア・アヴァンギャルドのものにひかれる。マレーヴィッチの仕事は本当に素晴らしい。
「本をめぐるアート」にスポットを当てた美術館は非常にめずらしく、そして貴重だ。今後も様々な企画で楽しませてもらいたい。

やはり、人間が関わっているという痕跡としての温もりが感じられる書物であってほしい。でなければ、その書物は、宇宙とよぶにはあまりにも単一すぎる。



書物をめぐる図録として下記の二点を挙げておく。
どちらも素晴らしく、楽しませてくれます。
*『本の宇宙−詩想をはこぶ容器 展』(栃木県立美術館)1992年
*『チャペック兄弟とチェコ・アヴァンギャルト』
 (神奈川県立近代美術館)2002年
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2006年02月03日

『植田正治写真集 吹き抜ける風』(求龍堂)/2006年


植田正治写真集:吹き抜ける風



著者名:植田正治
出版社:求龍堂
出版年:2005.12
ISBN :4763006061


植田正治(1913-2000)の写真、特に「砂丘シリーズ」を見ると、いつも吹き出してしまう。もちろん悪意からではなく、頬笑ましくて。
あまりに朴訥な演出。まるで村芝居をはじめるかのようだ。モデルとしての出演者たちも自分たちが何をやるのか理解していないまま舞台に立っている。だからといって、それが嫌なのではなく、何となく照れくさいだけでうれしいことはうれしい。演出家はその意図を明確に伝えることもなく、その光景を頬笑んで見ているだけ。そんな光景を想像してしまう。ましてや、その出演者のなかに一切の演出を排除するリアリズムを提唱した土門拳の姿もあるあるのだから。
その演出の楽しみ方は、フランスのシュルレアリスト達の遊びも彷彿とさせる。

「わたしはアマチュアですから」

そう言って、故郷鳥取から活動の場を出なかった植田正治。
砂丘ばかりでなく、鳥取は植田にとって大きな箱庭だったのだろう。
そのなかで遊ぶ植田の姿には、儚さと同時に柔らかい強さがある。
posted by NIHEI at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 写真/アート

2006年02月02日

『20世紀版画の巨匠 浜口陽三展 展覧会カタログ』(日本経済新聞社)/2002年


『20世紀版画の巨匠 浜口陽三展 展覧会カタログ』
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著者名:浜口陽三
出版社:日本経済新聞社
出版年:2002

カラー・メゾチントの創始者として世界的に知られる銅版画家・浜口陽三。(1909-2000)
17世紀に発明された技法メゾチントを復活させ、マニエル・ノワールを新たな芸術表現として完成させた厳格な長谷川潔に対して、浜口陽三は自由に版画に向かった。そこで生まれたのがカラー・メゾチント。
個人的には、駒井哲郎が最も好きな銅版画家ではあるのだが、年齢とともにあるまろやかさをもったマチエールにひかれはじめてもいる。

このカタログは、2002年、国立国際美術館、千葉市美術館、足利市立美術館、都城市立美術館、熊本県立美術館・本館を巡回した際に発行されたものである。
posted by NIHEI at 22:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

2006年02月01日

『山口薫 展』図録(東京ステーションギャラリー)/2003年


『山口薫 展』図録
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著者名:山口薫
出版社:東京ステーションギャラリー
出版年:2003

山口薫(1907-1968)
詩心を持った画家といわれる山口薫。

「なみだを流して絵を描いたっていい
 そうして私は絵を描いて色を塗っているだけなのだ」

山口薫は好きな画家のひとりであることに違いはないのだが、どうも今ひとつのめりこめない。手ごたえが薄い感じがしてしまう。
それは、もしかしたら「絵」と「詩」がかならずしも幸福に出会っていないことに起因するのではないかと、そんなふうに僕は思ったりする。
posted by NIHEI at 21:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア

『異形の幻視力 小山田二郎 展』カタログ(毎日新聞社)/2005年


『異形の幻視力 小山田二郎 展』カタログ
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著者名:小山田二郎
出版社:毎日新聞社
出版年:2005

小山田二郎(1914-1991)
美しい図録だ。
小山田二郎は、大好きな画家のひとりだ。
小山田二郎もあまり紹介されることの少ない画家であるため、画集などを入手することは困難だったが、2005年に「東京ステーション・ギャラリー」「高崎市立美術館」で展覧会が開かれ、このカタログが出版されたことは、ファンにとってはありがたい。
油絵も素晴らしいのだが、水彩画とスケッチに驚かされる。幻視者とひとことで言ってしまうのは簡単だが、それではおさまらない人間への深いまなざしと技術で見る者の精神の奥底まで迫りくる。
小山田二郎は、1971年57歳のとき、自宅から忽然と姿を消す。失踪だ。
その後、世間とは画廊に作品を送るだけの関係しかもたなくなる。
「なぜ?」と問う前に、ある誘惑を感じてしまう。
それは、死への失踪ではなく、生き延びるための失踪だから。
posted by NIHEI at 02:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術/アジア
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